KURAGARI/photographed 田附 勝




2006年から東北を訪れて写真を撮り続けている田附勝さんの最新作「KURAGARI」が入荷しました。



「 KURAGARI 」 ¥3,675-(tax-in)


田附勝さんはアート・トラックを収めた「デコトラ」、
第37回木村伊兵衛写真賞受賞作「東北」などで知られるフォトグラファーです。

この「KURAGARI」は、2009年~2012年にかけて釜石市唐丹町の森の中で撮影されたもの。

カメラとライトを手に、真っ暗な森の中を一人歩く田附勝さんが目にしたもの、
遭遇したものがそのまま写し出されています。

写真の最後に記載された言葉まで、静かにじっくりご覧になってください。







田附勝さんは同じく釜石市唐丹町で毎年11月に伝統的に行われている
 “ 鹿猟 ” にもここ数年同行しています。

タブロイド版写真集「5」(フォトグラファー 田附勝・石塚元太良/SLANT刊)は
自然の中で野生動物と共存している現地の様子を追ったもの。

生きる為に覚悟を持って鹿を殺める、神聖な儀式のような写真が収められています。



「5」 ¥525-(tax-in)




何故、富山県生まれの田附さんが東北を訪れ写真を撮り続けているのか、
「東北」で木村伊兵衛写真賞を受賞した時のコメントがとても心に残りましたのでご紹介致します。

第37回木村伊兵衛写真賞受賞「東北」 作者コメントより

心も体も東北に向かっていた。
1994年に東北を旅したとき、ぞわぞわするような血のたぎりを感じた。
19歳だった。その感覚は私の中に残り、やがて大きくなっていった。
この21世紀にいながら太古の昔の東北を感じることができるのではないか。
太古の昔の東北人の視点を意識しながら、東北を撮ろうと思った。
2006年から東北の地に足を踏み入れ、少しずつ撮影を始めた。
撮りたい一心で東北の地を青い軽自動車で駆けまわった。
東北にいると、人と獣の存在がとても近くに感じられた。
同時に、生と死は隣り合わせのように感じられた。
その感覚を追いかければ、自分なりの「東北」を撮りきることが
できるかもしれないと思っていた。
しかし、東北の撮影は、いつも私の想像を超えていた。
鹿を追う猟師の足手まといになりながら撮影した。
雪深い山中で乾いた銃声が響き、鹿が倒れた。雪に血が散っていた。
太平洋でメカジキと戦う突棒猟師の兄弟の船に乗せてもらった。
それは知り合ってから4年後のことだった。
死者の声を聞くことができるというオガミサマは、
ほとんど視力がない眼を、真っ直ぐカメラに向けてきた。

彼ら彼女らを写真に写し出すことは、真剣に対峙することであり、
同時に彼ら彼女らの世界に踏み入ることであった。
いつも自分の覚悟を試されているような気がした。そんな撮影だった。
私は東北を撮りながら、日本とは何かを問い直そうとした。
日本人の原型を東北人に見出そうとした。
しかし、撮影に一区切りをつけた直後、2011年3月11日、東北は大震災に遭ってしまった。
結論が出ないことを考え続けた。考えていなかったのかもしれない。
ただ、ただ、今でも東北に向かう。そして写真を撮る。それしかなかった。
震災後、写真に写るものは、明らかに変化した。うろたえる自分が、そこにいる。
東北から何かが聞こえてくる。そいつをカメラで正面から捕まえるために、私はまた東北の地へと向かう。




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